作品中で採り上げる音楽の選択について

 「天&悪」本編および番外短編で、キャラクターたちが演奏している曲や、会話の中に出てくる曲のお話です。

 

 クラシック音楽と一口に言っても、それこそ誰でも知っているメジャーな大曲もあれば、音源すらほとんど存在しない超マイナーな曲まで、星の数ほど存在しています。

 あくまで個人的な基準ですが、作品の中で使う曲は、あえてメジャーなものをチョイスするようにしています。

 曲名とタイトルが一致しないこともあるでしょうが、とりあえず「曲名は聞いたことがある」というもの、もしくは「音源が膨大にあって、容易に聴くことができる・購入できる」とか、そういうものを選んでいます。

 

 「宿命の章」「夢幻の章」は、ピアニストの高野と稲葉が出てくるので、必然的にピアノ協奏曲が採用されました。

 使用したのは、

 ベートーベン ピアノ協奏曲第5番

 シューマン ピアノ協奏曲イ短調

 グリーグ ピアノ協奏曲イ短調

 

 超メジャーな3曲です。

 その他、メジャーどころで言ったら、ショパンの1番2番、リストの1番2番、ラフマニノフの2番、ブラームスの2番、チャイコフスキーの1番あたりでしょうか。

 まあ恐らくですが、ピアニストの高野は半年に一回、芹響と共演している設定なので、作中に出ていないところで弾いていると思われます。

 稲葉はどうかな……いまだに、かたくなにショパンだけは弾かないでいるかもしれませんね。そもそも、孤高のピアニストなので、協奏曲よりは、単独でピアノソナタを弾きまくっているような気もします。

 

 「奈落の章」では、ヴァイオリニストの羽賀真琴さんがゲストキャラだったので、必然的にヴァイオリン協奏曲をチョイス。

 実際、これはすごく悩みました。どの曲にするか。

 富士川(過去)と鷹山(今回)が弾く曲ということで、私蔵のCDを大量に聴きまくって、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲にしようと考えたりしました。

 富士川が弾くなら「ボリス・ベルキン」風、鷹山が弾くなら「ヤッシャ・ハイフェッツ」風だろうと、その奏法まで設定してみたり。

 でも、原稿を書き進めていくうちに、プロコフィエフでは弱いんでははないかと(実際は超・名曲です)思い至り、最終的に、チャイコフスキーが採用されました。

 

 

 ここで、現在進行中の新章「懺悔の章」の話なのですが、いまだに作中で使用する曲が決まっていません。

 ものすごく迷っています。

 思い切って、オペラでも上演しようかと思ったり……さすがにそれは無茶だ。原稿300枚じゃ収まらん(怖)

 でも、せっかくの最終章なので、「声楽」を取り入れたいなー……と、思案中です。